2009年9月25日金曜日

これって『常識』?!

ある晩の夕食時の会話。
夫がこんなことを言い出した。
  「1968年、陸上競技の100m、200m、走り幅跳びで
   世界新記録が生まれました。
   そして、その記録は長い間破られませんでした。
   それは何故でしょう?
   常識問題だよ。」
子供たちは無邪気に適当なことを言う。
  「すごく強い人がいたから。」
  「ドーピングをしていたから。」
私と子供たちに思いつく答えといったら、こんなもんだ。

すると、渋い顔で夫が言う。
  「違う、違う!
   じゃあ、ヒント。
   1968年にはオリンピックがありました。
   開催国はどこでしょう?」

一同無言。

何のヒントにもならない。
いきなり1968年のオリンピック開催国を問われて即答できるのは、テレビに出てくるクイズ王かうちの夫くらいだ。
楽しいはずの夕食のテーブルを沈黙が包む。

呆れ顔で夫が言う。
  「そんな事も知らないのか?!」
はっ?!そんな事を知っているヤツの方が少ない。
だいたい私は『何年に何があった』ということを覚えていない。
私が知っている年号といったら、『いい国(1192年)作ろう鎌倉幕府』くらいだ。
そんな私に1968年の・・・なんて質問をするのは無謀というものである。

子供と私の困惑を無視して夫は続ける。
  「いいか、
   1964年は東京
   1972年はミュンヘン
   1976年はモントリオール
   1980年はモスクワ
   ・・・・・
   じゃあ、1968年はどこだ?」

一同無言。

  「ここまで言っても分からないのか?!
   まったく常識が無いな。」

ここまで来ると、『たとえ答えが分かっても絶対に答えてやるものか』って気分になる。
子供たちもヘタなことを口にしたら、クソミソに言われるのが分かっているから貝になる。

一同無言。

馬鹿にしたように夫が言う。
  「メキシコシティだよ。
   そのくらいのこと覚えておけ。
   常識だぞ。」
スミマセンネ・・・ジョーシキがなくて。
  「ここまで言えばわかるだろ。
   世界記録が生まれ、長期間破られなかったのは
   何故だ?」

一同無言。

  「ちょっと考えればわかるはずだよ。
   何でもいいから言ってみろ。」

『何でもいい』なんて嘘だ。
万が一間違った答えでもしてごらん。
完膚なきまでに否定されること請け合いだ。
自分の自尊心を守るためには、黙秘を続けるしかない。

シーーーーーン。

沈黙に耐えかねて夫が口を開く。
  「こんな簡単なことがどうして分からないのかなぁ。
   メキシコシティというのは高度が高い。
   だから気圧が低い。
   つまり空気抵抗が低い。
   それ故、空気抵抗が問題になる短距離走などの
   競技では高記録が出たんだ。
   わかったか?
   まったくアナタたちは常識がない。
   もう少しいろいろな事を知っていないと恥ずかしいよ。」

   ・・・・・はいはい、わかりました・・・・・

さて今回のこの話のどの部分が『常識』なんだろう?
  「これが常識だと思う人、手ぇ挙げてー!」
って叫びたい気分。

夫の常識は世の中の非常識。


0 件のコメント: