マンガ本が1冊消えた。
ただのマンガ本ならガタガタ言わない。
消えたのはグリニッチ図書館から借りたマンガ本である。
返却日が間近に迫ったある日、リオが告白したのだ。
「遊戯王の14巻がない」
と。
こりゃ、大変まずい!
リオと二人で捜索する。
マンガ本を読んでいたのは、リビングのソファーとリオのベッドの上。
その辺りを重点的に探す。
・・・見つからない・・・
『見つからない』では済まないので、次の日も探した。
今度はもっと念入りに。
本棚の本も全部チェックした。
引き出しの中もチェックした。
ソファーの隙間もチェックした。
ベッドの中も横も下もチェックした。
カバンの中もチェックした。
・・・見つからない・・・
もしも見つからなかったら・・・
私が図書館のカウンターに行って、受付の人に
『かくかくしかじかの理由で紛失してしまい
大変申し訳なく思っておりますデス。
この不始末の償いはどのようにすれば
よろしいのでございましょうか。』
なぁーんて話をしなければいけないではないか。
ゲッ!! イヤだ。
それだけは避けたい。
リオのためではない、自分のために捜索する。
そう思うと捜索にも一層熱が入る。
今度は、そんな所にある訳ないって場所まで徹底的に捜索する。
食器棚の中、下駄箱の中、洋服ダンスの中、ゴミ箱の中(!)・・・
・・・見つからない・・・
もうダメ。
これだけ探して見つからないということは、家の中にはないということだ。
斯くなるうえは、図書館に侘びをいれに行くしかない。
はぁぁぁぁぁ~。
考えただけで溜息が出る。
と同時に、リオに対する恨みつらみも出る。
なんでキチンと管理しておかないのかねぇ?!
ちゃんと仕舞っておけば、なくなるはずないのだ。
よりによってアメリカの図書館の本をなくすなんて最低最悪。
誰が謝りに行くと思っているんだい?
んなこと言ってもどうしようもないんだけれど、イヤミの100個も言わないと私の気が治まらない。
でも、さすがのリオも反省しきりの様子。
イヤミは10個で許してあげることにする。
我ながら優しい母である!
大きな溜息と重い気持ちを引きずりながら、行ってきました。
(本当は行きたくなかったけど放っておく訳にはいかないからね)
図書館に入って、まずカウンターの中にいる人を確認する。
アメリカでは《誰に》対応してもらうかが非常に重要である。
今回のように面倒な案件の場合は特に・・・。
全く同じ用件を同じ役所にいる
AさんとBさんに聞いたとしよう。
Aさんに聞いた人はYESと言われ、
Bさんに聞いた人はNOと言われる
なんて事が日常茶飯事で起こるのだ。
だから《誰に》言うかが非常に重要。
カウンターを伺うと、見覚えのある顔が・・・。
とってもキレイで優しいお姉さん。
この人は、いつだって親切に優しく対応してくれる。
おずおずとお姉さんの前に行き、
「マンガ本を1冊失くしてしまいました。
ごめんなさい。
一生懸命、家中を探したのですが、見つかりません。
どうしたらいいのでしょうか?」
と悲痛な想いで言った。
お姉さんは
「本当に?」
と聞き返す。
私は、
「はい、本当にごめんなさい。」
と平身低頭謝る。
お姉さんは、
「そんなに気にしなくていいのよ。
よくあることだから。」
とニッコリ笑う。
お姉さんの笑顔で、気持ちが少しだけ軽くなる。
日本で図書館の本を失くしたことがないからよく分からないけど、日本だと謝って終わりなのかな?
でも、ここはアメリカ。
自分の仕出かしたことの責任は自分で取らなければいけない。
いかなる場合もresponsibility(責任)が付いてまわる。
今回のように図書館の本を紛失した場合の責任の取り方は・・・
お金を払う。
紛失した本代+罰金で$10請求された。
カウンターでお金を払うと、お姉さんは
”Thank you!”
と言う。
いえいえ、"Thank you"なんて言ってもらえる筋合いのお金ではありません。
全面的にこちらが悪いのですから。
以後このようなことが起きないように、十分注意いたします。
ふ~ッ・・・なんとか一件落着。
どっと疲れたので帰ろうとしたら、リオが言った。
「今日は本を借りていかないの?」
人の気も知らないで、あっけらかんとしている。
何事もなかったかのように、またマンガ本を3冊借りた。
今度、失くしたら全部自分で後始末してもらうからね!!
追記:
今回のように本を失くした場合だけでなく、
返却日に遅れた場合も1日に付き$1の罰金だとか。
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